ラーメンもちゅるちゅる一本ずつお召し上がりになりそうな、ガゼル様のちいさなオープンマウス造形の唇とミルク色の乳歯。
晴矢が食券2枚並べて「こっちのは麺少なめ」っていう。がぜさまも食べ盛りだろうし、わりと量は食べるけども、麺が伸びてしまうので(なぐはる曰く「こいつ食うのが遅すぎるだけ」)。
ラーメンのあとは、喫茶店でデザートが欠かせないね。
メロンソーダに、アイスかパフェか。時間的にケーキにしても良いかもしれない。おすまし顔の食べ盛りは、そりゃもうぺろりともりもりと。たくさん食べて育つために。
それで気が付いたらもう夕方で。
そんなおでかけの一日。
ふたりで遊びに行く時ははどこにかなんて聞かれたら、晴矢が一言で「めし」って。
それは比喩じゃなく、言葉通り「めし」で一日楽しいおでかけコース。帰り道にもふらっと寄り道しながら、食べたいものをお土産に買って帰るんだろうな。
楽しいおでかけは美味しい思い出に満たされてる。
細ポテトも一本ずつお召し上がりになりそうだし、気が付いたらいつのまにか晴矢の分にも手を付けてそう。さも当然の顔で。きみのものはわたしのもの。
その分、晴矢はハンバーガー3個4個食べるんだろうな。
なぐもぐはるやも食べ盛りぺろり。なぐはるは食べ物の好き嫌いあんまなさそう。わりとなんでも美味しくいける食べ盛りの健康優良少年。
がぜさまは超弩級のド偏食なんだろうな。そのくせこの間まで避けてたものを急に食べ出して「好き嫌いなんてしない」って。
いやそのオニオンリングおれが食べたくて買ってきたんだが。
べつに嫌いってわけではなくて、ただなんとなくグリーンピースはお皿の端っこに整列させてから食べる癖。
それを見て晴矢は「おまえ箸使いは器用な」と感心する。
書き綴る文字はへろへろの流麗な象形文字(魔法の呪文か)だけれども、ペンを走らせる手のかたちはこの上なく美しい。だからこそ、食器をもつ手の美しさもこの上なく。
ちまりちまりと口許へ運ぶ所作の余韻を味わう。
ごちそうさまです。