「きみは冬毛にならないの」
なんて、訊いてくるから。
「おまえに俺の冬毛取られてんの」
そう晴矢が毛布を指差して。
冷え込む日、寝てるところに突然がぜさまがお腹の上に乗っかってくるから「動けねぇ~」って暖を取られるあたたかな日。
とにかくいつも、くすぐったい声で何言ってんのかよくわからない感じだから、寝言かと思って聞き流してたら「きいてるのか」なんてヘソ曲げられたりして。
起きてる時も半分は寝言みたいなものってこと。
もしかしたら半分以上も、ほぼほぼ。
甘そぉ~って思うかもしれないけど、ほんとに甘いんだよね。
おかげさまでこんなに甘ぁく仕上がりました。ぜんぶ、きみのせい。
本人(及びきみ含む)はそんなの知らないんだろうけど。
甘い結晶、宝石のような白双糖。
ガゼル様ってグレープフルーツ食べるの下手そう。ぐっじゅぐじゅ。
…って思ったけれども、きれいに皮をむいてカットされたかたちしか知らないのだった。食べるだけのかたち。
晴矢の服にくっついてた白い綿毛に気付いて、猫でも飼ってんのかと思いつつ手に取ると毛色が透けて何がなんだか何も言えずに。
彼の友人が体験した、すこし不思議な話。
家に猫がいるのか訊いてみても、返答は「それなりに」とだけ。
リップクリームを塗ってもらうのは薬指でか、小指でか。その手は晴矢のだもんで、スティックをぐりっとかもしれない。
ハンドクリームも、ボディクリームもね。すべすべまんじゅうがぜさま。
あたたか~いコーンスープ缶を買って帰ってきてもらうのが楽しみなホリデーシーズン。
ひとつぶひとつぶコーンをじっくり味わって、満足気に。