駆ける脚、この脚、誰の脚。
ひらひら、その脚たしかに生えてますかって感じの歩く姿。駆ける姿は飛ぶように。
見る度に、つま先を靴下で包む度に、お靴を履く度に、このヒール脚の造形が好きだと改めてしみじみ実感する。
無性別のSDGrボディ。ガゼル様の白肌SDGr夢天使ボディ。
自らを「わたし」と称して、ひらがなの響きで、おすましさんの表情を浮かべる。
やっぱりガゼル様の性別は「ガゼル」なのだと。
ガゼル様自身だって自分の正体が何か分からないのだから、「ガゼル様」で在り続けるしかない。
純然たる、絶対零度の凍てつくなんとかであることが証明であって。
何になるでもなく、何に戻るでもなく。
「わたしはガゼル」のひと言で。
ほのかに冷気を宿す筆跡で「ふうすけへ」と書かれた手紙。
幼少期、晴矢の目の前に現れたガゼル様の小さな手をひく、大人の白い手。その白い手だけが目に焼き付いている。それ以上は何も知らない。
どうして自分を「わたし」と呼ぶのか、何気なく聞いてみたら、たった一言「そう教えられたから」とだけ。
ガゼル様の母は森の魔女説を推しています。
白色の筆跡
...
姿も声も匂いもすべてが白く塗りつぶされた思い出の中で、ただひとつ、子守唄だけが聴こえた。ガゼル様は知らずにいる。その子守唄こそが究極の魔法だということを(プリキュア映画の話)。
森の奥底で発光するガゼルブルーの眼と眼が合ってしまったら、それはそれはとても大変な魔法をかけられてしまうのだろう。
だから、晴矢少年はとってもたいへんな魔法に──・・・。